“AIによる概要(AI Overview)”でSEOは終了するのか?【旧SGE】

2024年8月より、検索結果の上部にAIが質問回答を作成する”AI Overview”または「AIによる概要」という機能が日本でも導入されました。
元々は、テスト期間中「SGE(Search Generative Experience)」と呼ばれていたものです。
今は「AIによる概要」または”AI Overview”と呼ぶのが正しいですので、今回は”AI Overview”という呼び方で進めていきます。
実際に、2023年の時点から経営者の方々に「SGE(AI Overviewになる前の名前)が検索結果でのクリック率に影響するのか?」と聞かれていました。
SEOでBtoBのリード獲得されていた事業部長陣やSEOで商品販売していた小売の方々は、売り上げにダイレクトに影響しますからね。
「AIの回答が検索の上部に出てくるので、せっかく作った記事が読まれない」。それにもかかわらず、「AIには記事の中身を抜いて使われる」こういうのが恐ろしいわけです。
今はゲームチェンジが起きているタイミングなので、キャッチアップしていかないとSEOで浦島太郎になってしまいます。
逆に、今回のお話を抑えてもらえれば、「AI Overviewが導入された今、どんな記事をつくればいいか」がわかるので、AI Overviewも怖くなくなるはずです。
AI Overview導入に踏み切ったGoogleの考えや海外のSEO会社の調査見解などを元に解説していくので、今後のSEOに興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
なお、2025年2月現在、検索結果のすべてがAI出力される「AIモード」という機能がGoogleでテスト中という話もあります。
このあたりのAI×SEOの最新情報は、当社が運営し、1,500人以上の経営者・事業主・マーケ担当者の方々にチャンネル登録いただいている”WEBマーケティングスタジオ by ANEMA”でも発信しています。ぜひ合わせてご確認ください。
AIによる概要(AI Overview)とは?

AIによる概要(AI Overview)は、簡単にいえば、Googleが検索エンジンに生成AIを組み込んだ新機能です。
ユーザーが検索した際に、Web上の記事を参照しながら自動で回答を生成し、検索結果ページの上部に表示します。

ナレッジパネル(有名人の名前を検索すると検索結果の上部に自動で出てくるプロフィールなど)のようなイメージです。
- 導入時期:日本では2024年8月15〜16日にリリース
- 対象ユーザー:現在は18歳以上のユーザー
以前は「SGE(Search Generative Experience)」と呼ばれていましたが、現在は「AIによる概要(AI Overview)」が正式名称として案内されています。
AIによる概要(AI Overview)はどこで使えるのか
- スマホ(iPhone/Android)
Googleアプリで利用可能。検索結果上部に「AIによる概要」が表示される。 - PC(Chromeブラウザ+Google個人アカウント)
PCユーザーの方は、ブラウザがChromeで、Google個人アカウントを使用している場合に利用可能です。
出てこない場合は、Chromeブラウザ右上にある「三角フラスコのマーク(Search Labs)」をオンにすると利用可能です。
ただし、シークレットウィンドウやGoogle Workspaceアカウントでは現在利用できません。
※アメリカ版では、シークレットウィンドウやGoogle Workspaceでも使えるため、将来的に日本でも対応する可能性があります。
もし「AIによる概要」が表示されない場合は、Search Labsをオンにすることや、ブラウザがChromeであることを確認してみてください。
AIによる概要(AI Overview)の機能と特徴
AI Overviewはどんな機能があるのか
AI Overviewで出てくるのは、質問への回答と、そのソースURLです。1行につき1つずつWEBサイトへのリンクマークを出してくれます。
なお、以前は解答の詳細度合いをPC版では「Original(標準)」「Simple(簡略)」「Break it down(詳細)」から選べたようですが、2024年10月時点ではなくなっていました。
コロコロ仕様を調整していると思われます。
また、「質問風」で検索すれば、食事や旅行のプランを立てることもできます。
加えて、検索するたびに若干回答も変わります。
なお、AI OverviewはGoogleの検索結果ページに直接統合されているという点で、Gemini(ジェミニ、旧Bard バード)とは異なります。
AIによる概要(AI Overview)はどんなクエリで表示されるか
AI Overviewは、全ての検索クエリに対して表示されるわけではありません。とくに、以下のようなケースで表示される/されない傾向があると報告されています。
ただし、海外のAdvanced WEB RANKINGというメディアによると、AI Overviewが表示されるSERPs(検索結果ページ)は増加傾向で、9月の時点で2週連続で増加しているという報告もあります。この時は、20.08→23.45%に増えたということです。
ちなみに、2024年10月9日に確認した時は、アメリカで24.99%まで上がっていました。2025年2月現在、今後は検索結果ページ(SERPs)全体がAI生成になる「AIモード」やそもそもCHatGPTをはじめとするAI検索の影響も強くなってきています。
AI Overviewで表示されやすいクエリ
AI Overviewは、定義系のクエリ、つまりKnowクエリと呼ばれるものに対して表示されやすい傾向にあります。
例えば、「〜とは」や「〜の意味」といった検索ワードです。
Google の Senior Director of Product である Hema Budaraju(ブダラジュ)氏も、AI Overview は複雑な質問に対して表示されやすいと語っています。
AI Overviewで表示されにくいクエリ
一方で、購買に直接影響するようなキーワード、例えばGoクエリ(=行きたい)([大阪市 カフェ]、[近くのコンビニ])、Doクエリ(=〜したい)([ジム 予約)、[チケット 問い合わせ])、Buyクエリ(=買いたい)([ワイヤレスイヤホン おすすめ]、[ビタミン サプリ])ではあまり表示されません。
さらに、シンプルな検索クエリで、Googleが通常の検索結果以上の価値を不可できないと判断したものも表示されないです。
実際に私のスマホで検索したところ、knowクエリの[海外旅行 おすすめ 国]では出てきました。
一方で、[岐阜タンメン]※岐阜の美味しいラーメン屋さん)、[おすすめのテニスラケット(モデル名出るるかな〜と思ったのですが)]と検索したら出てきませんでした。
このことから、2024年10月時点では、AI OverviewがSEOにおいて、売上に大きな影響を与える可能性は低い状態になっていると考えられています。
現状ではまだ、商品やサービス販売につながるような顕在層のクエリでは、これまでのSEO戦略は引き続き使えるものと言えます。
ただし、AI Overviewはまだ進化の途中です。
Googleのジョン・ミュラー氏が認めるように、AI OverviewもGoogleのコアアップデートの影響を受けるので、今後も仕様が変わるでしょう。
そうなってくると、表示されるクエリの種類が拡大する場合も考えられるので、引き続き注視が必要です。
このチャンネルでも引き続きトレンドを追っていくので、現場への落とし込みを見落としたくない方はチャンネル登録を忘れないようにお願いいたします。
AIによる概要(AI Overview)によるSEOへの影響
経営者の方からよく質問をいただくと言っていた、SEOへのアクセスへの影響について解説していきます。
「ゼロクリック検索」の増加
「ゼロクリック検索」とは、ユーザーが検索した時、検索結果ページ(SERPs)上で回答が出てきてしまうので、ブログなどのサイトをタップすることなく検索行動を終えることです。
AIの大まかな回答で満足したら、WEBサイトにこないので、アクセスが減少する可能性があります。
この傾向は先ほど言っていたように、knowクエリの簡単な用語説明では増えるでしょう。
オーガニック流入減少リスク
また、SERPsでのクリック率ですが、海外のAdweekの調査の調査によると、オーガニック流入が20〜36%減少するリスクがあるという悲観的なレポートがありました。
ただし、これは2024年1月の早い段階の予測なのと、実際にはそんなにAI Overviewが表示されていないので、そこまでの影響はないかもしれません。
もしトラフィックが減っていたとしても、この動画で述べているように顕在層向けキーワードにはそんなに影響がないです。
AI Overviewから情報をピックアップされる条件
SEO Clarityという海外メディアが今年2024年に調査したところ、AIOverviewは検索の7.6%に表示され、そのうち99.5%が上位10記事から情報をピックアップしていたそうです。
特に、80%の確率で上位3位までのページから1つ以上がリンクされるとのことです。
なので、「AI Overviewのおかげで順位が低くてもアクセスが来る」とはならずに、「上位表示できないと読まれない」状態が続きます。
記事を出すなら勝つ、負けるなら出さないといったメリハリある戦略が重要です。
アネマでは予算を溶かさないようにドメインパワーを考慮したキーワード選定を行っているので、この辺りセカンドオピニオンがほしい事業者様は、無料相談をご活用ください。
顕在層キーワードではそんなに影響なくても、SEO全体としてはインパクトがありそうですね。
なお、AI Overviewの回答には、文章1文ずつにリンクマークがつくようになっています。
回答はざっくりだったり、ハルシネーション(AIの嘘)も起こるので、「ソースを確認したい」とユーザー側もリテラシーが高まるとも考えています。
背景の前提状況まで抑えるべきような内容では、アクセスはそこまで落ちないかもしれません。
AIによる概要(AI Overview)対策では何をすべきか
一次情報の重要性
上位記事の丸パクリ記事や、網羅性を上げただけの記事は、競合のより強いドメインのサイトにもいずれ真似されて抜かれます。AIにも情報を取られます。
AIに使われないようにno snippetタグで制御したとしても、強調スニペットに載る機会を失うといった損をするのでおすすめしません。
それよりは、自社の取り組み事例やあなただから言えること、経験を入れていく方がおすすめです。
競合はパクれないし、参考に出すなら被リンクがつくし、AIに抜かれてもソースとしてより詳細を知るために訪問してくれるはず。
SEOのタイトル・見出しの付け方は守りつつ、一次情報モリモリの「現場やっているから書ける記事」をつくっていきましょう。
オリジナル性の強いコンテンツを作ることが大切
生成AIで記事制作のハードルが下がったり、AI Overviewで概要情報は抜かれてしまう時代だからこそ、「そこを見に行かないとわからない」レベルのコンテンツをつくり、業界でも専門家として認識されるようなコンテンツ施策にしていかないとです。
AIによる概要(AI Overview)のアクセス分析はできるのか?
現状では、AI Overviewからの流入を直接分析することは難しいです。Google Analytics上では通常のorganic流入としてカウントされてしまいます。
ですが、いずれはAIOverviewからの流入を個別に分析できるようになるでしょう。
まとめ
まとめると、AI Overviewが導入されても、私たちがやるべきことはそんなに変わりません。ただ、先ほど述べたように一次情報を出す意識は重要です。
網羅性を高め上位表示されて、かつ他サイトにない情報や視点を提供することで、AI Overviewに取り上げられやすくなるでしょうし、業界での専門家ポジション(エンティティ)も獲得しやすくなります。
つまり、いい記事はより見られ、低品質な記事は見られにくくなる傾向が強まります。
以前の「生成AIで作った記事はSEOに悪影響か?」という記事でも扱いましたが、生成AIで出力した原稿そのままを大量UPしているメディアは、2024年3月のGoogleアップデート以降、ペナルティの対象でBANされた事例が報告されています。
他の記事を再編集しただけの記事はAI Overviewにも代替される内容です。
記事の作成が簡単になったからこそ、内容の濃さにこだわるのが大事ですね。
アネマはSEO会社ですが、我々がたたきをつくり、プロに濃い現場ノウハウ・現場の見解をいただいて、SEOの構成・記事に落とし込むといったコンテンツの作り方を好んでいます。
大量に記事をつくることはできませんが、意味のある発信をされたい企業様は、うちと組んでいただけたら嬉しいです。
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