流出・漏洩したGoogleアルゴリズムの解説とこれからのSEO施策

Googleアルゴリズム流出・漏洩の真相とこれからのSEO施策

2024年5月、Googleのアルゴリズムの一部が漏洩しました。SEO業界では大きなニュースとなりましたが、その後Googleも公式なものとして認めています。

今回はそんな現時点のGoogleのアルゴリズムについて、我々が押さえておくべきトピックを取り扱いました。答えがわからずにSEOするのと、わかっていてSEOに取り組むのではやり方も変わりますよね。

また、この記事ではシステムの情報整理で終わらず、実際に企業のメディア運営を支援してきている経験から、「これだけは今のSEOに関わる上で押さえておくべき」だと考えているポイントを中心に解説していきます。

なお、株式会社アネマでは、「本当にその状況でSEOに取り組むべきか」の分析をサポートする無料1時間枠をご用意しています。SEOで予算を溶かさないために、アネマのSEO担当が現状分析を手伝いますので、ぜひ無料SEO診断サービスをご活用ください。

また、当記事はYouTubeでも解説しています。動画・音声で確認したい方はWEBマーケティングスタジオのYouTubeをご活用ください(YouTubeでチャンネル登録しておき、通勤時に音声として流すのもおすすめです)

目次

流出・漏洩したGoogleアルゴリズム流出の概要

2024年5月にGoogleのアルゴリズムの一部が流出・漏洩しました。本来なら社内限定で共有される情報が、誤って外部に公開された形です。その後、Googleの広報担当者デイビス・トンプソン氏が公式なものと認めました(ソース)。

これにより、今までブラックボックスで答えがわからなかったSEOの正解が一部わかるようになりました。これまでは、Google関係者の見解か、SEO担当者の分析によって見えてきた”見解”しかなかったところに、急に答えが出てきたという状況です。

主な流出情報として、以下のようなものが含まれています。

  1. ドメインパワーを示す”siteAuthority”指標の存在
  2. ユーザー行動データをランキングに影響させるNavBoost
  3. YMYLコンテンツに対する特別な評価基準
  4. サイトのテーマ性を測定する指標の存在
  5. 小規模個人サイトの識別方法
  6. リンクの品質を3段階で評価するシステム

一つずつ確認していきましょう。

ドメインパワーの重要性

今回の流出で最も注目を集めたのは、Googleが”siteAuthority”という指標を用いてドメインの強さを評価しているということです。これまでGoogleが長年否定してきた「ドメインパワー」の存在を認めるものとなりました。

2019年頃から年々ドメイン重視の傾向が強まっていたことは、多くのSEO専門家が感じていましたが、今回の流出でその裏付けが得られました。

ただし、我々が自社のサイトにおいてsiteAuthorityで何点獲得できているかを確認することはできません。

そのため今後も引き続き、ahrefsのDR(Domain Rating)のようなサードパーティ製の分析ツールを用いて分析しましょう。

ahrefsとDRに関する補足説明

ahrefsにおけるDRの目安は、「自社でSEOは必要ない?手を出すかの判断基準をプロがお伝えします」の記事にてまとめています。

コンテンツの質と滞在時間の重要性

ドメインパワーの次に重要なのは、流入後の「滞在時間(Dwell Time)」です。これはユーザー行動を検索順位のランキングづけに反映させるアルゴリズム、”NavBoost(ナブブースト)”に含まれます。

NavBoostに関する補足説明

2017年頃は、単純に文字数が多ければ良いという「長文SEO」が流行しましたが、現在はユーザーの行動、特に滞在時間を重視する傾向にあります。

Googleは、ユーザーが検索結果ページからクリックしてサイトに流入し、内容を読んで検索結果に戻るまでの時間、または他のページに移動したりブラウザを閉じたりするまでの時間、ユーザー行動を測定しています。

長文であっても読まれない内容では意味がありません。むしろ、少しでも読者の滞在時間を延ばすような、質の高いコンテンツが重要です。例えば、自社独自の事例紹介であったり、サイト内にYouTube動画を埋め込むことで滞在時間を伸ばせます。

また、直帰率も重要な指標です。直帰率が高いということは、そのコンテンツが役に立たなかったことを意味します。

理想的には、ユーザーがサイトに訪れ、内部リンクで他のページに移動したり、満足してブラウザを閉じる行動が望ましいです。

クリック率とタイトルの重要性

先ほどのNavboost(ユーザー行動をとる指標)のもう一つの特徴として、検索結果ページ(SERPs)のクリック率で検索結果での順位を変動させるというものがあります。

魅力的なタイトルはクリック率(CTR)を上げるために重要で、「SEOには影響しない」といわれてきたメタディスクリプションも、SERPsにおけるクリック率に影響するという点で、SEOに関係しているといえます。

1位なら1位にふさわしいクリック率、7位なら7位なりのクリック率を出せないと順位が落ちることになります。逆も然りです。

AIで生成されたタイトルやディスクリプションをそのまま使用すると、CTRが伸びない可能性がありますね。

ドメイン運用期間と新規ドメインの扱い

Googleは「hostAge」という指標を用いて、新しいサイトの扱いを決定していることが明らかになりました。これは、「サンドボックス」と呼ばれる、新しいサイトがすぐにSEOで上位表示されるのを防ぐためのブロックです。

hostAgeとサンドボックスに関する補足説明

主にスパムサイトが急速に上位表示されるのを防ぐ目的がありますが、これまでGoogleの広報担当者は「サンドボックスは存在しない」としてきたものの、これが誤りだったことになります。

これまでに、新規ドメインは公開されてからすぐはどんなにいい原稿でも上位表示されにくいことが確認されています。私たちも経験済みですよね。

ドメイン年齢(hostAge)とドメインパワー(ahrefsのDRなど)の間に相関性はないですが、このような期間とサンドボックスには関係がありそうです。わかりやすくいうと、「古いドメイン=ドメインが強いわけではない」ですが、「新しいドメイン=SEOで不利」とはいえるということです。

オロパス社が月5万円で法人向けに提供しているパスカル(Pascal)というツールがあり、そこではずっと”ドメイン運用年数”がSEO評価の点数づけに関わっていました。Googleにおいてもそういった関係性がある可能性があります。

ただし、新規ドメインが何ヶ月または何年間ブロックされるのかは明確ではありません。短期的に上位表示を狙うアフィリエイトサイトなどの場合は、このサンドボックスの影響を考慮して中古ドメインを探すのもありでしょう。一方で、企業サイトなど長期的な運用を前提としたサイトであれば、新規ドメインでのスタートでも問題ありません。

例えば、私たちの会社(株式会社アネマ=https://anema.co.jp/)は、今後何十年と運用していくつもりです。このドメインに長期的に信頼を貯めていくので、直近数年の期間を気にせずに新規ドメインを取得・運用しています。

ユーザー行動データの活用

“NavBoost”が取得しているユーザーの行動データの中には、クリック情報も含まれます。

”goodClicks”や”badClicks”などといったクリック情報を記録しており、サイトに訪れたユーザーがページの中でどのような行動をとっているか分析しています。

”goodClicks”や”badClicks”で我々のサイトがどのように評価されているのか分析することはできませんが、私たちも近い分析をサードパーティ製ツールで行うことができます。

例としては、MicrosoftのClarityがおすすめです。これはヒートマップツールなのですが、ユーザーがページ内のどこでクリック・タップしているのかを無料分析できます。

なお、ヒートマップはLPだけに使われがちですが、今後ユーザー行動を分析していくためには、ブログ記事にも活用すべきです。

Clarityでは、「無効クリック」も分析可能です。これにより、「ユーザーがボタンじゃないけど勘違いした場所」や「ここはもっと具体的な事例などがほしい」と思っている箇所などを把握できます。

また、Googleは、Chromeブラウザのユーザー行動データも検索結果に反映させています。そのため、個人によって検索結果が異なる現象が起こります。

SEOの順位を確認する際は、シークレットモードでの確認や、検索順位チェックツールを使用しましょう。個人の趣味や嗜好が反映された結果かもしれないので、自分のブラウザでの順位だけを見て喜んではいけません。

オリジナルコンテンツの重要性

Googleは”OriginalContentScore”という指標を持っていることがわかりました。これは、コンテンツのオリジナリティを測定するものです。

OriginalContentScoreに関する補足説明

AI時代において、AIで生成されるコンテンツは基本的に2次情報です。AIは機械学習した情報を基に発信を作るため、1次情報は作れません。したがって、AI時代では人間が作る1次情報、オリジナルコンテンツの価値がより高まるといえるでしょう。

AIに構成や原稿の初稿をつくらせてもいいですが、原稿を人間の目で監修し、独自の経験を載せていくことが重要です。

この原稿も、制作段階の一部にAIの力を借りていますが、アイデア出しとブログ化の工程はアネマのメンバーが人力で行っています。

タイトルとコンテンツの一致度

“titlematchScore”という指標の存在が明らかになりました。これは、タイトル属性と検索クエリ(キーワード)の一致度を確認するものです。

SEOを意識しすぎてキーワードだけをタイトルに入れ、実際の内容と一致していない場合、このスコアに悪影響を与える可能性があります。タイトルと内容の一致は、これまで以上に重要になるでしょう。

日付情報の扱い

Googleは3種類の日付を測定していることがわかりました。

  1. bylineDate:ページ上に明示的に書かれている日付
  2. syntacticDate:URLやタイトルから抽出している日付
  3. semanticDate:ページ中のコンテンツから確認できる日付

この3つです。

これらの日付が一致しない場合、フレッシュネス(新鮮さ)の評価において不利になる可能性があります。

例えば、タイトルに「2024年最新版」と入れたり、URLに日付を含めたりすることは、公開時は最新版だとGoogleに認識されやすいですが、1年経つと逆に古く見えてしまう可能性があります。

したがって、タイトルやURLに年号を入れる場合は、定期的な更新が必要です。

更新を怠ると、タイトルやURLから抽出される日付と、実際のコンテンツの日付が不一致になり、フレッシュネスの評価において不利になる可能性があります。

YMYLなどの特定のジャンルにおけるコンテンツの扱い

今回、YMYL(Your Money or Your Life)と呼ばれる、人生に重要な影響を与える可能性のある分野については、特別な指標があることが明らかになりました。

具体的には、以下のような指標があります。

  • ymylHealthScore
  • ymylNewsScore

これらの指標で、そのコンテンツがYMYL領域にどの程度マッチしているかを測定しているようです。ただし、具体的にどのように測定しているかは不明です。

また、”isCovidLocalAuthority”と”isElectionAuthority”という、新型コロナウイルスと政治に関する指標もあることがわかりました。

これらの分野における陰謀論などを、どのように扱っているかは明確ではありませんが、少なくともGoogleはこれらの分野を特別に認識していることがわかります。

サイトのテーマ性の重要性

「サイトのテーマ性」については、Googleは”PageEmbedding”や”siteFocusScore”、”SiteRadius”、”versionIDなど、サイトのテーマが何なのかを測定する指標を持っていることがわかりました。

これにより、サイトのメインテーマに沿ったコンテンツは上位表示されやすく、テーマから外れたコンテンツは表示されにくくなる傾向があると考えられます。

この原稿を書いている廣山の学生時代の経験でも、テニスに特化したブログを運営していた際、テニス関連の記事は検索順位が高くなりやすく、それ以外のテーマの記事は順位が付きにくいという現象がありました。

この経験が、今回の発見で裏付けられましたね。

小規模個人サイトの扱い

小規模サイトにおいて、“SmallPersonalSite”という指標が存在することが明らかになりました。これは個人の小規模サイトを識別するためのものです。

Googleがわざわざこの指標を設けているということは、小規模個人サイトを他のサイトと区別して評価している可能性があります。

具体的には、この指標が高く評価されたコンテンツは、場合によっては順位が下げられる可能性があるかもしれません。

ただし、そこまでは説明されていないので、これは推測の域を出ません。

なお、別件ですが、小規模な(企業)サイトについては、2024年8月のアップデートで上位表示されやすくなったという情報もあります。個人ブログは引き続き厳しめです。

リンクの品質評価

リンクの扱いに関しては、“sourceType”という指標が存在することがわかりました。これはリンクに関する属性で、リンクの品質を3段階で評価しているようです。

  1. BaseDocument:新鮮で重要なページと認識され、ここからのリンクは高品質とみなされます。
  2. ~supplemental tier documents:通常のページと認識され、中品質のリンクとして扱われます。
  3. ~blackhole document:低品質なページと認識され、ここからのリンクも低品質とみなされます。

興味深いのは、Googleがこの分類を行う際、ページへの流入数を基準にしている可能性があることです。例えば、月間流入数が1〜5程度のサイトは”BlackholeDocument”に分類される可能性があり、逆に月間数百〜数千の流入がある重要なページは”BaseDocument”に分類される可能性があります。

つまり、単に被リンクの数を増やせばいいというわけではなく、実際にユーザーが訪れる重要なページからのリンクを獲得することが、SEOにおいて非常に重要だということがわかります。

企業のマーケ担当者向けにアドバイスをまとめると、次のようになります。

  • 内部リンクはTOPページなど流入が多い上層のページからリンクさせる
  • 被リンクは数よりも質が重要
  • 関連度の低い被リンクは無視される。業者から買うような海外リンクは、ahrefsを騙せてもGoogleは騙せない

コンテンツの視覚的要素の評価

小さい話ですが、今回の流出で、Googleがフォントサイズといった視覚的要素も認識していることが明らかになりました。

さらに、具体的にこれがどのようにランキングに影響しているかは不明ですが、少なくともGoogleがこれらの情報を収集し、何らかの形で評価に利用している可能性があります。

具体的には、見出しは本文よりも大きいフォントサイズにする、被リンクのサイズを小さくしてを見せないようにしているところも見られているかもしれません。

したがって、コンテンツの見やすさや理解しやすさを向上させるために、適切なフォント選択や図表の使用、重要な部分のハイライトなどは、押さえておきましょう。UIの向上は滞在時間を伸ばし、NavBoostの高評価にもつながります。

著者情報の重要性

権威性の観点では、”Author”や”isAuthor”といった指標があることが明らかになりました。これは著者情報を評価するものです。

この発見により、ページに著者情報を適切に記載することの重要性が再確認されました。特に「エンティティ」のある人物を監修者としておくのがE-E-A-T対策としておすすめです。

※エンティティ:2024年、SEO有識者の中でキーワードとして言及される回数が増えてきているキーワード。ソーシャル上で言及数の多い企業や業界の専門家をGoogleが”概念”として理解できていることを指しています。「ホリエモン」と検索したときに検索結果に「概要」のパネルができますが、このような業界の著名人においては、「ホリエモン」をただのキーワードではなく概念・人物として理解しているエンティティが働いています。

また、SEOには「サイテーション」という概念もあります。「言及」「引用」といった意味で、ソーシャル上で他者に言及されることを指しています。

Xや他社メディアからの掲載など、全てで同じ名前・同じ専門領域での露出をWEB上で増やしていくことで、ブランドとして検索エンジンに理解させることができます。これが権威性として強みになります。

私自身も「廣山晃也」という本名でをWEBサイトやX、YouTubeで使用するようにしています。以前は、「KOYA」という表記を使っていたのですが、そうするとコアラの”KOYA”に指名検索で負けるので、本名を使うことにしました。

なお、検索エンジンも理解しやすい著者情報の実装方法は主に2つあります。

  1. メタタグのname属性を使用する方法: <meta name=”author” content=”著者名”>
  2. 構造化マークアップを使用する方法:https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/article?hl=ja#author-bp

これらの方法を適切に使用することで、Googleに著者情報を正確に伝えることができます。

フレッシュネスとコンテンツの変更履歴

 Googleは”SourceLink”という指標を使用して、ページの新鮮さを評価していることがわかりました。

ちょうど一年前ごろ、SEO界隈で、「記事の更新日だけ変えて上位表示できる」というテクニックが流行りましたが、ここが関わっていた可能性があります。

さらに、各ページの変更内容を最新20件まで保管していることも明らかになりました。

以前は、コンテンツの内容を変更せずに最終更新日だけを変更することで新鮮さの評価を上げようとする手法が一部で行われていましたが、Google側にはバレてしまっているといえます。

したがって、コンテンツを更新する際は、実際に内容を見直し、「今日の時点で品質担保できたよ」という意味を込め更新ボタンを押すようにしましょう。

動画コンテンツの扱い

ページの50%以上が動画コンテンツで占められている場合、Googleはそれを「動画中心のページ」として認識し、異なる扱いをしていることがわかりました。

これは、動画が主要なコンテンツとなっているページでも低品質ではなく、動画前提での評価になるということになります。WEBサイトに動画メインのページを存在させている企業も安心です。

これからのSEO施策はどうするべきか

結論としては、「特にやることは変わらない」です。

これまでSEO担当者として各社にお伝えしてきた下記の点を重視していただきたいです。

  • ドメイン評価向上のため、質の良い被リンクの量を伸ばしましょう
  • 文字数よりも滞在時間
  • SEO構成+「自社だからいえる」独自性の高いコンテンツづくりを
  • 自社の担当者を業界の専門家としてWEB上でもブランディングしよう
  • 最新版の品質担保をした上で更新ボタンを

このあたりは引き続き重要です。

ただし今回は、「SEO施策の根拠を得られた」という点で非常に大きかったです。

なぜ上記の箇条書きのようなことを我々が重視するのか、実際のGoogleのアルゴリズムに紐付けてお話しできるようになりました。

なお、今回は「Googleがどのような指標をもっているか」は明確になりましたが、「どの指標がどのくらい重いのか」はわかっていません。そのため、「siteAuthorityとNavBoostどちらが大事なのか?」といった話は(経験的にドメインだと思いつつも)できません。

今回はここまでになります。

この記事でご説明したような、最新のGoogleアルゴリズムに則ったSEO運用支援なら、アネマにお任せください。上場企業やBtoBマーケ企業でSEO担当者をしてきた廣山をはじめとするメンバーが、必要最低限で無駄のないメディア運用を支援します。

無駄な記事をつくらせたり、高額な記事単価な違和感をもっていたり、効率的な運用をしたい会社様の右腕になります。

» SEOの無料相談はこちらから

また、今回のGoogleアルゴリズム流出・漏洩のような 重要トピックを配信するニュースレターを運営しているので、まだの方はこちらもご登録ください。

» WEBマーケティングスタジオ ニュースレター

目次