AI検索対策(GEO/LLMO)のおすすめ分析ツールを紹介
Google検索は、従来の「10本の青いリンク」から検索結果ページの”リッチ化”を進め、AIによる概要(AI Overview)やAI モードの導入を進めてきました。
検索結果ページの”リッチ化”が進むと、ゼロクリック検索が促進されるので、企業はサイトからアクセスを集めづらくなります。
さらに、ChatGPTやGeminiといったAIチャットアプリも普及して来ました。
このように、ユーザーの「検索行動」に焦点を当てると、WEBサイトへのアクセスを集めづらい時代になり、検索マーケティングのやり方も変えていくべきタイミングとなってきています。
そこで今回は、変化している検索マーケティングを受け止めた上で、既存のSEO以外にAI検索に対しても行うべき分析や対策の進め方についてお話ししていこうと思います。
SEOの役割が変わってきている
まず初めに扱いたいトピックが、「SEOの役割が変わってきている」ということです。
ゼロクリック検索が検索行動の前提になった
これまで、「10本の青いリンク」の中で上位表示ができれば、企業は自社サイトへのアクセスを集め、そこから商売ができました。
一方で、AI検索機能の充実によって、ユーザーは「わざわざ記事を開かなくても、知りたいことを知れる」時代になったと言えます。
読んでいただいているあなたも、用語の定義などをGoogleで検索した際に、AI回答で満足してWEBサイト訪問はせずにページを閉じた経験があると思います。

このように、WEBサイト運営者にとって、ゼロクリック検索が問題となっています。
「アクセス数」でSEOの成果を測るのはナンセンス
これに対して、私も2025年の初め頃はどうしたらAIに引用されるかを調べていましたが、結論、AI回答の引用元になってもほとんどクリックされないので、費用対効果を説明できません。
サイトのアクセス数で判断して「SEOがオワコンになっている」と言うのであれば、「AI検索はもっとオワコン」だと言うことになってしまいます。
しかし、AI検索に期待したい役割はそこではありません。
AI検索に期待するのは、回答で自社をレコメンドしてくれるか
AIによる概要やAI モード、ChatGPTの回答を見ていて皆さんも見たことがあると思いますが、AI検索は商品/サービス/会社名も回答に出してくれます。
これが困り事がある人々の解決策になり、商品を探している人にとっては、商品を認知したり、比較・吟味するきっかけとなります。
すなわち、ゼロクリック検索が当たり前になってきた検索の世界に対して「SEOの役割が変わってきている」と言ったのは、検索マーケティングに期待する役割が「アクセス数」ではなく、「自社を直接レコメンドしてくれるか」に変わってきたということを言いたいわけです。
YouTube運営も同じで、動画内で直接リンクをクリックして購入いただくEC機能もありますが、BtoBなどでは会社として認知と信頼を得て、「選んでもらう」ために行っていると思います。AI検索もこれと同じです。
「お役立ちコンテンツで集客してリストを集める」という従来の潜在層向けSEO施策は効果が薄くなり、代わりに、AI検索含むゼロクリック検索上で「製品を直接レコメンドしてもらおう」という方向性に変わってきています。
ということは、我々がSEOを行った成果として分析すべき対象も、「WEBサイトのアクセス数」ではなく、「AI回答で直接レコメンドしてもらえたか」に変わるということです。
しかし、「5,000PV」「2万UU」などのように数字でわかりやすいアクセス数とは違い、レコメンド状況は数字化が難しいです。
なので、AI検索対策を行った成果はどのように分析できるのかといったことをこの後に話していきます。
AI回答における言及状況をモニタリングしよう
AI検索対策の成果を判断するために行うべきは、「LLM回答における言及状況」のモニタリング環境の構築です。
私たちは今、自社がAIによる概要やAI モードで「競合よりもレコメンドされているのか?」といった現状を把握する必要があります。
まずは自社が狙うプロンプトを明確にする
そのために必要なのは、まずは「自社がどのような文脈でレコメンドされたいのか」ということの整理です。
そう言ってもイメージが湧かないかもしれないので具体的にいうと、SEOで狙っていたキーワードをユーザーがAI検索に打ち込む「プロンプト」に変換すると良いです。
例えば、[山梨 デザイン会社]というキーワードをこれまで狙っていたのだとしたら、プロンプトに置き換えると、「山梨県でおすすめのデザイン会社は?」となりますね。
[山梨 デザイン会社]というキーワードで上位表示を狙うところから、「山梨県でおすすめのデザイン会社は?というプロンプトでレコメンドされるかをチェックすればいいわけです。
狙うプロンプトを実際にAI検索で調べてみる
もちろん、検索順位のように、「今1位だ」「3位だ」「5位だ」というようにわかりやすく分析はできないのですが、ChatGPTの無料版の回答で出てくるのか?Geminiでは出るのか?Perplexityの回答では出るのか?AIによる概要では?AI モードでは?といったことを各プロンプトで確認していくのがやるべきことです。

ローカライズ・パーソナライズの影響に注意
ただし、注意点としては、特にChatGPTや、AI モードでも回答を連続で質問した際に起こりやすいのですが、「ローカライズ」や「パーソナライズ」の影響を受けるという点です。
例えば、私が自分のGoogleアカウントでログインして毎日使っているChatGPTに質問すれば、私との普段のやりとりでパーソナライズされた回答をしてきてしまいます。
また、岐阜にいるので、岐阜に近い会社をローカライズして出してくるでしょう。
ここが厄介です。パーソナライズをオフにするなり、ログインしないなり、普段使っているアカウント、ブラウザと分けるなりの工夫が必要です。
それでも、調査するプロンプトや、自社がターゲットとしているユーザーが使っているであろうLLMの種類が多いと、分析も大変でしょう。
例えば、BtoBであれば、ChatGPTだけでなく、GeminiやPerplexity、Copilotなんかも決裁権者が使っているかもしれません。
調査するプロンプト数が多い場合は、GEOチェックツールを導入する
LLMにおける言及状況の分析が大変だということであれば、専用のツールを使った方がいいです。
今年はいくつもの海外GEO分析ツールを契約して、コストまたは機能の点で「うーん、誰しもにおすすめできるほどではないな…」という失敗を繰り返していました。
ただ、最近は日本の企業でもGEO分析ツールを出している企業も出てきていますので、一旦、現時点で検討できる選択肢を共有します。
AI検索対策(GEO/LLMO)分析ツールの選択肢
簡単に、GEOチェックツールの選択肢を紹介していきます。
Profound
まず一つ目に挙げるのは、Profoundです。2025年最初の頃は、お問い合わせしても返事が返って来なかったので使えなかったのですが、途中で契約できるようになったので契約しました。

私が契約した際のプランだと月に8万円、年間100万円ほどするので、非常に高額だったのですが、AIによる概要とChatGPT、Perplexity、Copilotの回答を毎日200プロンプトまで自動で分析してくれます。
ドメインが1つしか登録できないのが厄介ですが、「自社ドメインが言及されているか?」の項目が常に「いいえ」になることを前提に無理やりプロンプトを登録すれば、毎日200プロンプトまでは出してくれます。これで我慢できれば、複数サイトを運営している方でも使えます。
AI モードは上位プランでないと使えないので、それを分析しようと思うと年間いくらになるのやら…という感じになってきます。ただ、現状AIによる概要の方がインパクトが大きいので、カスタムプランでなくていいと思います。
…と、私の契約した時の料金プランはこのようだったのですが、今日改めて最新の料金プランを確認したところ、99ドル(日本円で1.5万円)で50プロンプト、ChatGPTのみというプランがミニマムプランとして増えていました。
また、AI検索プラットフォーム3つまでと100プロンプトであれば399ドル(6.1万円)でも契約できるようです。
私が契約した時よりもかなりハードルが下がっていました。ただ、これでも安くはないですね。
競合サービスが増えてくると、もう少し手を出しやすくなるのではないかと思います。
DemandMetrics for AI サーチ
2つ目の選択肢は、DemandSphereのDemandMetrics for AI サーチです。

500ドル(7.7万円)で毎日500プロンプトをモニタリングできます。
AI モードにも対応しているのが特徴で、ChatGPT、Perplexity、Bing、AIによる概要を含め、2つのAIエンジンから分析できます。
ミエルカ
3つ目の選択肢はミエルカSEOです。
日本のSEO会社Faber Companyが運営していて、私も先日Found Conferenceにてご挨拶させていただきましたが、中の方々もわかる分、安心して使えます。
動画を撮っている時点で10日ほど前に「AIOトピックチェッカー」という機能が発表されました。その機能が対象のプランを契約してれば、AIによる概要で自社が言及されているかは分析できます。

この機能が発表される前にもLLMモニタリング機能があり、GPT-5、4o、o3、Gemini 2.5 Proと分析できていました。

「AIOトピックチェッカー」が解放されるプランの費用がまだわからないのですが、ミエルカSEOを契約している場合は「お問い合わせ」すれば機能解放いただけるのではと思います。
すでにヒートマップやPOPUP機能実装のために契約している方は、こちら一択になるかと思います。
thruuu(スルー)
無料でもある程度使える枠の代表でおすすめしたいのは、thruuu(スルー)です。
基本的にGEOチェックツールはまだ無料体験版が充実しておらず、お金払うしか試す方法がない印象ですが、thruuuは無料版でも1回は有料級の分析ができます。
たくさんのAIエンジンを分析できるわけではなく、AIによる概要に限られますが、自社ブランドがAIによる概要にどこまで露出できているか、My AI Overview Reportsでレポート作成できます。

やり方は、サイトに登録して検索順位チェックツールに入れているキーワードとそのボリュームの2列をcsvで作ってインポートするだけなので、簡単です。
AI Overview Reportは33ドル(5,000円ほど)のProプランを契約すれば利用できるので、AIによる概要だけで言えば結構強いです。
ただ、無料版7回は分析できるとのことなのですが、AI Overview Reportsは一回しか使えません。設定ミスだけしないよう、ご注意ください。
今後もどんどんGEO分析ツールは出てくるはずなので、一旦はこれくらいにして次に進みます。
ここまで、まずは「LLM回答における言及状況をモニタリングできる環境を整えよう」というお話でした。
AIからの言及状況が把握できたら
AI生成の回答を分析できるようになったら行うことは、自社が言及されているかの確認です。
自社のサービスがレコメンドされているのであれば、一安心ですね。
しかし、もし間違った内容で紹介されていたり、そもそも自社がレコメンドされていない場合は、やるべきことがあります。
それは、AI回答の参考サイトがどこなのかの特定です。
間違った回答になっていたのであれば、もしかしたら、自社サイトの説明が誤解されやすかった可能性があります。その場合は、説明文を書き直しましょう。
自社がレコメンドされない場合。こちらは、他社サイトの情報を元に回答生成しているのであれば、そのサイトに自社への言及が増えることによって、次は自社への言及が増える可能性が高まります。
とはいえ、競合他社のサービスサイトであれば、これに働きかけるのはほぼ不可能です。
一方で、まとめサイト、比較サイト、レビューサイト、YouTube動画への掲載が参照元になっているのであれば、自社から働きかけができるサイトもあります。
例えば、「山梨にある美味しい焼き鳥屋さん10選」という記事をまとめているローカルメディアがあったとしたら、例え記事公開時点では店舗がなくて載れなかったとしても、お問い合わせしてみたら載れる可能性があります。
その際、追加する場合の文章案なども同時に送れば、掲載の可能性も若干は上がると思います。もちろん、全てのサイトが対応してくれるとは思えませんが、数を打てば多少状況は改善できるはずです。
その他、ローカルメディアに費用を払ってPR記事を出すことを検討したり、インタビューメディアに掲載する方法もあります。
弊社アネマにおいても、支援先企業向けにVisionaryVoicesというインタビューサイトを運営しており、ここからAI モードの回答の参照元にもなっています。

うちのでよければお問い合わせいただければ対応させていただきます。
» VisionaryVoices掲載についてお問い合わせ
ですが、1サイト載れば良いのではなく、いくつものサイトに載ることが重要なので、その前提でWEB上でのプレゼンスを大きくしていくつもりで向き合っていただければと思います。
AI検索のSEOで一番大切なこと
このように、AI検索対策で一番大切なことは、自社がレコメンドされたい文脈(プロンプト)で、WEB上で目立つようになるということです。
サイテーションが継続的に増え続ける活動をしよう
自社がその事業/サービスをやっていることを人間だけでなくLLMにも伝えられるように、PR TIMESなどのプレスリリースを出す。自社サイトにもちゃんとテキストで読みとるコーディングでサービスページを作る。
サービスページを作って満足せず、それが外部サイトでも紹介されるように働きかける。認知が広がらない場合は、他社と共同でセミナーやカンファレンスを開催したり、外部のインタビューメディアなどに載ったり、自社でYouTubeを撮って動画とその概要欄で紹介したりなど、やるべきことがあります。
これらの自社サイト外でやっていただく施策が「サイテーション(外部サイトでの言及)が継続的に増え続ける」ところに貢献できていれば、結果としてAI回答でレコメンドされる確率も高まっていきます。
逆に、あまりにもマイナーなサイトにしか載っていなかったり、ただ掲載されることだけを目的として「サイテーションが継続的に増え続ける」ところに繋っていなかった場合は、その成果を得づらいはずです。
自社のWEB上での活動の結果、誰かがブログやSNSで話題にしてくれるか、口コミを書いてくれるかといったところまでを見据えて、広報戦略を描いていただければと思います。
最後は「指名検索数の増加」に成果が現れる
これらを継続していくと、AI回答における言及率が上がるだけでなく、最終的には指名検索数の増加にもつながってきます。
自社の指名検索数は、Google広告のキーワードプランナーやラッコキーワードなどで分析できます。
自社の指名検索数が伸びていれば、広報戦略が上手くいっている一つの証だと言えます。※炎上しているケースは除きます。
まとめ
最後に簡単に今回の内容をまとめて終わります。
今の検索マーケティングでは、WEBサイトの「アクセス」は集めづらくなってきています。
理由は検索結果のリッチ化で、ゼロクリック検索が進んでいるからです。しかし、ゼロクリック検索の中でAI回答機能があり、その中でレコメンドされれば自社のマーケティング成果を得られます。
AI回答でレコメンドされているかを分析するには、AIの回答を見にいく必要があります。確認したいプロンプトが少ない場合は手動でいいですが、多い場合は、GEOチェックツールを導入すると便利です。
AI回答でレコメンドされない場合は、一つひとつのプロンプトに対して、どういったサイトを参照して回答生成しているのかを分析して、そこに載る努力をしていきましょう。
その引用元サイトそのものに載れなくとも、同格のメディアに載ることができれば、そちらが参照されることもあります。
本質的には、このように外部サイト掲載が増えるようなWEB上での活動をしていくのがAI検索対策の本筋なので、他社がつい掲載してくれるような広報戦略を企画することに力を入れて、これからも検索マーケティングをしていきましょう。
AI回答の分析やそれに対する対応策を練るところは、私たちアネマもサポートさせていただきますので、モニタリングと対策を一緒にやっていきたいという方はフォームよりご相談ください。
» アネマにSEO(AI検索のSEOを含む)について相談する
それでは、今回はここまでとします。また次のブログまたは動画でお会いしましょう。

