【AI時代】今後も広報/プレスリリースの力は重要です
最近、ChatGPTやGeminiといったAIツールの進化が目覚ましいですよね。
「AIが文章も作れるようになった今、広報の仕事はどう変わるんだろう?」「これまでのプレスリリースって、AI時代でも本当に意味があるの?」そのような疑問も出てくるタイミングですので、今回お答えさせていただきます。
AIが急速に普及するこれからの時代において、企業の広報活動、特にプレスリリースがこれまで以上に重要になると思っています。
その理由と、AI時代に広報担当者が取るべき具体的なアクション、「GEO(旧LLMO)」と呼ばれる新しいAI検索対策の考え方について解説していきます。
今回の内容を見ていただければ、AI時代の変化に対応し、より効果的な広報戦略を立てるための具体的なヒントが掴めるはずです。
なお、当メディア「WEBマーケティングスタジオ」では、こうしたAI×メディア運用の現場で起きている最新のトピックをブログと動画にて扱っています。AI×マーケ、AI×広報の最新トピックを見落としたくないご担当者はぜひ私たちの発信を追ってください。
今回の内容ですと、動画版は下記になります。音声で聴き流したい方は下記をご活用ください。
今、検索の世界で何が起きているのか
まず最初に、今、検索の世界で何が起きているのか、その現状を把握することが重要です。大きな変化として「AI検索の伸び」が挙げられます。
海外のレポートによると、AI検索からの流入は2023年と比較して2024年のクリスマスから年末年始にかけての期間に1,300%も急増したというデータがあります。
これが何を意味するかというと、これまで何かを調べるときの入口は「まずGoogle検索」が当たり前でしたが、今はその入口がAIチャットツールにも確実に広がっている、ということです。
例えば、「〇〇(業界名)でおすすめの会社は?」といった情報を探すとき、これまではGoogleで検索して比較サイトなどを見るのが一般的でした。しかし今は、最初にAIに尋ねるという行動が増えてきています。
この変化を見て、「じゃあもうSEO記事だけ頑張ってもダメなのか」「広報の役割は小さくなるのか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、それは違います。むしろ、ここからが広報の腕の見せ所なんです。
AI時代にプレスリリースはなぜ重要なのか
次に、AIはどんな情報を好むのか、そしてなぜプレスリリースが重要なのかについてお話しします。
生成AI、特にChatGPTのようなLLM、つまり大量のテキストデータで学習し、人間が使うような自然な文章を作り出すAIは、情報を学習したりユーザーの質問に答えたりする際に、信頼できる「一次情報」を重視します。
ここでいう「一次情報」とは、企業自身が発信する公式の情報のことです。
そして、WEB上で公開されている一次情報として、LLMがブログなどのWebページと並んで真っ先に参照しやすいのが、プレスリリース配信サイト(PR TIMESなど)に掲載された情報なんです。
従来のSEO記事は、主に「読者の疑問に答える」ことを目指して書かれます。
そのため、自社のサービス内容の詳細や、最先端の取り組み、具体的な成功事例などを必要以上に詳しく書くことが難しい側面があります。読者の離脱に繋がってしまう可能性もあるためです。
一方で、プレスリリースは「企業の公式発表」の場です。ですので、自社の強みや実績、新しい取り組みについて、遠慮なく、詳細に情報を発信することができます。
AIはプレスリリースを読むことで、正確な会社名、製品・サービス名、独自の取り組みや実績、具体的な数値といった情報を、その背景や文脈とともにダイレクトに学習してくれます。
そのため、もし今、「AIの時代だから広報予算を縮小しよう」と考えているなら、それは非常にもったいない判断だと思います。
実際、ChatGPTなどのAIは、学習データや回答生成時の情報源としてPR TIMESなどのプレスリリースをよく参照しています。
プレス配信を止めてしまうと、AIが学習する情報の中からあなたの会社に関する情報が少なくなり、結果としてAIの回答に自社が登場しなくなる可能性があります。これは、Web上での存在感が希薄になる、あるいはAIにとっては存在しないことになってしまうリスクを意味します。
AI時代に広報担当者も知っておきたいこと
では、AIに正しく情報を認識してもらうために、広報担当者は具体的に何をすれば良いのでしょうか?
まずは、基本として整えるべきことを3点、お伝えします。
自社のエンティティがGoogle/LLMに認識されているかを確認
1つ目は、自社のエンティティがGoogleやAIに正しく認識されているかを確認することです。「エンティティ」というのは、会社名、ブランド名、サービス名、代表者名といった「固有の概念」を指します。
プレスリリースを発信する際には、基本的にこれらの表記は毎回統一されているはずです。
重要なのは、その統一された正しい会社名やブランド名が、GoogleやAIに意図通りに認識されているかどうか、それを確認することです。
Googleの場合は、Googleトレンドで自社名を検索して「トピック」が出てくるかでもエンティティの有無を確認できます。
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もし認識が誤っていたり、情報が不足していたりする場合は、プレスリリースや公式サイトの内容を見直す必要があります。
自社の取り組み(専門領域、実績)をプレスリリースで公開
2つ目は、自社の取り組みや具体的な実績や事例を発信することです。
PR TIMESをはじめとするプレスリリースで、自社が行った最新の調査や具体的な導入実績、提携企業名、開発技術の詳細といった取り組みを積極的に発表しましょう。LLMは、こうした情報からも専門性の評価を行っています。
実際にGeminiのようなAIに「〇〇でおすすめの会社は?」と尋ね、その理由を聞くと、「豊富な実績がある」「多くの事例が紹介されている」といった点を挙げることがあります。

ただし、実績があるだけでなく、それらの情報をプレスリリースや自社サイトなどでWEB上に分かりやすく提示していることが、AIに認識してもらうためには不可欠です。
「すごい技術です!」というだけでなく、「〇〇を△△%改善した技術で、□□社を含む多数の導入実績があります」といった具体的な示し方も、AIに対する説得力を高めます。
継続的にプレス発信を続ける
3つ目は、新しい情報があれば、プレス配信を継続することです。
単に同じ情報を繰り返し発信しても意味はありませんが、新しい取り組みや成果など、発信する価値のある新しい情報がある場合は、継続的に情報を発信し続けることが重要です。
継続的な発信によってAIの学習データの中に自社の情報が蓄積され、AIによる企業認知の”厚み”が増していきます。特に、GPT-4やo1のようなAIモデルが開発される際の学習データ(カットオフ)に最新情報が間に合えば、モデル自体の知識として組み込まれる可能性があります。
もしカットオフに間に合わなくても、WEB検索機能(ブラウジング)を持つAIであれば、最新のプレスリリース情報を見つけて回答に反映してくれることが期待できます。
広報担当者も知っておきたい”GEO(旧LLMO)”
ここで、「GEO(ジーイーオー)」という、AI検索への対策における新しい概念についてお話しします。
これは”Generative Engine Optimization”の略で、ここ数ヶ月で注目され始めた新しい考え方です。まだ表記揺れしているので、LLMOやAIO、AEOとも言われたりします。
ここでは海外で一般的な”GEO”と呼ぶこととします。
GEOは、ChatGPTのようなLLM、つまり大量のテキストデータで事前学習し、人間が使うような自然な文章を作り出すAIに対して、自社の情報を理解させ、評価を高め、最終的に自社ブランドをレコメンドしてもらうことを目指す取り組みです。
従来のSEOがGoogle検索エンジンへの対策であり、主にSEO担当者の領域だったのに対し、これはあくまで私の考えですが、このGEOは、広報担当者も深く関わっていくべき領域だと考えています。
なぜなら、GEOでは、プレスリリースなどを通じて発信する「企業の公式情報」が、AIの認識に非常に大きな影響を与えるからです。先ほどお話ししたエンティティの確認や専門性・実績の提示もGEOの重要な要素です。
さらに、「サイテーション」、つまりWeb上で自社名などがどれだけ言及されているか、その量や質、そして「GEからの自社の認識状況」、つまりAIに自社について質問した際にどのような回答が返ってくるか、などを分析し、改善していく視点がこれからの広報担当者にも求められるのではないでしょうか。
正直なところ、広報部門の方がGEOの概念や、自社がAIにどう認識されているかを詳細に把握しているケースは、まだ非常に少ないのが現状です。
ですが、GEOはSEO担当者だけでなく広報担当者も知っておくべきテーマです。
SEO記事だけでは語りきれない自社の強みやストーリーを、プレスリリースを通じてAIに届け、LLMからも認知獲得していくブランド戦略が重要になります。
プレスリリースではないですが、弊社アネマが運営しているインタビューサイト、VisionaryVoicesもエンティティのブランディングをSEO観点で重視しているメディアです。そのため、新しく公開されているGoogleの”AI モード”に対しても高確率で引用される結果が出ています。

こちら、「AIに対するブランディング観点でVisionaryVoices活用を検討したい」といったご担当者様はぜひご相談ください。
» VisionaryVoices掲載についてお問い合わせ
GEOにも有効なプレスリリース運用について
では、具体的にGEOの視点も取り入れた、効果が跳ね上がるプレスリリース運用フローとはどのようなものでしょうか?重要なのは、「プレスリリースを配信して終わり」にしないことです。
PR TIMESなどに掲載されると多くのサイトに自動転載されますが、これらのリンクには「nofollow」という、リンク先の評価を引き継がないように指示する属性が付いていることが多いです。これはSEO的な効果は弱いと言えます。
そこで目指したいのが、プレスリリースをきっかけとして、業界メディアや有力なニュースサイトに「記事化」してもらうことです。単なる転載ではなく、記者が内容に価値を感じて、独自の視点や追加情報を加えて記事を作成してくれるケースですね。
記事化されるためには、単に目新しいだけでなく、例えばその業界にとって本当に新しい情報であること、社会的に有益な取り組みであること、あるいは業界全体に影響を与えるようなイベントであることなど、メディアが報じる価値を感じるような、魅力的な企画が必要です。
メディアに独自の記事として取り上げられると、「dofollow」という評価が引き継がれる可能性のあるリンクを獲得できたり、自社名やブランド名のサイテーション(言及)が増えたりするメリットがあります。この「記事化」まで繋がって初めて、SEOとGEOの両面でのメリットが最大化されるのです。
「GEOとか記事化とか言われても、うちは広報担当が少ないし…」と感じた方もいるかもしれません。しかし、心配はいりません。AIを味方に付ければ、むしろ少人数でも広報は回せるようになります。
弊社アネマはAI活用に強い会社ですが、プレスリリース作成のプロセスにもAIは十分応用できます。
例えば、最新のAI(GPT-5やGemini 2.5 Proなど ※2025年9月現在)を使って企画のアイデア出しや構成比較を行ったり、事前にAIへの指示文テンプレートを用意しておけば原稿の初稿を従来の半分以下の工数で作成したり、作成したプレスリリースを元にブログ記事やメルマガ用の文章をAIに生成させたり、といった活用が可能です。
こうしたAI活用フローの内製化や、GEOを意識した広報体制の構築は、やり方次第では最短1ヶ月で実現することも可能です。
「プレスリリースの企画がマンネリ化している」「原稿作成に時間がかかりすぎる」といったお悩みをお持ちの広報担当者の方は、ぜひAIの活用を検討してみてください。
» アネマにSEO/GEO(AI検索対策)について相談する
AI時代において、広報のお客さんは記者+AIになる
さて、今回は「AI時代でも広報・プレスリリースが欠かせない理由」というテーマでお話してきました。
AI検索が普及する今、信頼できる一次情報としてのプレスリリースの価値は高まっています。広報担当者は、エンティティがAIに正しく認識されているかを確認し、専門性や実績を分かりやすく発信し、新しい情報があれば継続的にリリースすることが基本です。
そしてこれからは「GEO」というAI検索対策の視点が不可欠であり、単なる配信ではなくメディアでの記事化を目指すことで、AIへの露出効果を高められます。AIを活用すれば、少人数でもこうした戦略的な広報は実現可能です。
生成AIの登場は、広報の役割を縮小させるのではなく、むしろ”進化”させるチャンスです。プレスリリースを通じて、SEO記事だけでは伝えきれない自社の魅力をAIに届け、新たな顧客接点を創り出していきましょう。
弊社アネマは、Web上で”ブランド”を構築することを専門としています。そのために、今は「AI活用によるメディア運用の効率化」「GEOの探求」「広報との連携」といった武器を駆使してご支援しています。
最新AIを使ったプレスリリース作成の効率化や広報におけるGEOの最適化を行っていますので、
- 「AI時代の広報戦略をいち早く取り入れたい」
- 「GEOについてもっと詳しく知りたい」
- 「AIを使って広報業務を効率化したい」
ご担当者の方はぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。
» アネマにSEO/GEO(AI検索対策)について相談する
それでは、今回はここまでとなります。
また次回のブログ、または動画、あるいは直接のご相談でお会いしましょう。